整いすぎない街 珠海

国境の先で見つけた 喧騒と静寂のあいだ

🚶‍♀️ 境界を越えたら、ざわめきが迎えてくれた

マカオから歩いて国境を越えると、そこはまったく違う世界だった。
珠海口岸広場の地下街はとにかく広くて、熱気に満ちていた。

まっすぐ続く地下通路の両脇には、日系チェーンの飲食店もずらり。
たこ焼き、チャーハン、見慣れた看板にちょっとホッとしながら、気づけばチャーハンを口にしていた。
でもそのすぐ近くには、「これ本物?」とつい口に出したくなるようなお店もあって、この空間すべてが“見るもの”として楽しい。

🌃 蓮花路を歩く。人の気配と、街のリズム

珠海の繁華街といえば蓮花路
夜に訪れると、意外と人はまばらだった。
だけど、お店の明かりは消えていなくて、「この街はまだ眠らないんだ」と思った。

そしてふと、横道に目をやると――

そこには、“アングラ感”漂う路地裏が広がっていた。
整いすぎていない、ちょっとゴミが落ちたような通り。
それが、なぜかすごく愛おしくて。
私はその路地裏だけで、珠海という街が大好きになった。

🏨 肩書きと現実のギャップが、心をくすぐる

珠海は経済特区と呼ばれている。
でもその“整いすぎていない感じ”が、良い意味で裏切ってくれる。

ホテルだって、たった2500円で広い部屋。
ぜいたくなんかじゃないけど、旅人にはちょうどいい。
ちょっと薄暗い廊下、ぬるい空気。
その全部が、旅の記憶になっていく。

🛍️ 朝の蓮花路、市場の匂いが街を包む

朝、もう一度蓮花路を歩いてみた。
昨夜とはまるで違う表情で、中国らしい市場の光景が広がっていた。

生肉が吊るされ、野菜や果物がごろごろと並ぶ。
地元の人たちが交わす声が飛び交い、
その中に混ざって歩く自分が、ちょっとだけ“旅人”を超えたような気がした。

🚶‍♂️ 入境所の混雑に、都市の重みを感じた

マカオに戻る朝、入境所はすでに人で溢れていた。
押し寄せる波のように列が進み、そして止まり、また進む。

この光景はきっと、陸続きだからこそ見られるもの。
それにしても、人が多い。
人のエネルギーというものを、目に見える形で体験した気がした。

🌊 見られなかった海。それでも満たされた気持ち

ひとつだけ、心残りがあるとすれば――
港町らしい海辺の風景を、ほとんど見られなかったこと。

本当は、海沿いを歩いてみたかった。
そして、珠海にあるいくつかの有名な観光地にも行ってみたかった。

でもね、街を歩くだけでも十分だったんだ。
「また来たい」って、自然と思えた。

🎒 おわりに:このざわめきと静けさに、また会いに来たい

整っていない路地、アングラな雰囲気、地下街の熱気、
それらすべてが“肩書きでは測れない珠海”をつくっていた。

港町としての珠海には、まだ出会っていないけど、
この街の「雑多さ」に惹かれたこの旅は、
きっと何度思い出しても笑ってしまう気がする。

また歩こう。今度は、海辺をてくてくと。