シンガポールの中でも、ひときわ異国情緒に包まれたエリアがあります。それが「アラブストリート」と「ブギスストリート」。
朝の空気のなか、通りを一歩踏み入れた瞬間から、空気ががらりと変わります。色鮮やかなモスクの尖塔、道沿いに並ぶイスラム風の建築、可愛らしい装飾やタイル模様――そこには、日常の喧騒とはまったく異なる世界が広がっていました。
イスラムの人々の暮らしと信仰が息づくこの街は、ただ歩くだけでも新鮮な発見の連続です。祈りの時間を告げる声に耳を傾け、異国の香辛料が混ざる風に吹かれながら、シンガポールが「多民族国家」であることを、五感で感じ取ることができるでしょう。
アラブストリートとブギスストリートは、同じシンガポールにいながら、まるで別の国に足を踏み入れたかのような空気が流れています。朝の陽ざしが降り注ぐ通りを歩けば、香辛料の匂い、色鮮やかな布地、独特な装飾が五感を刺激し、異国情緒に満ちた時間が始まります。
この一枚が、アラブ&ブギスストリートの雰囲気を最も象徴しているでしょう。人々で賑わう通りの奥に堂々とそびえるモスク。その姿は決して浮くことなく、街並みに自然に溶け込んでいます。イスラムの祈りの時間が日常の中に息づいている——そんな空気を全身で感じながら、ただ歩くことそのものが旅になります。
建物の壁には、可愛らしい絵が描かれた装飾も。イスラム風の建築と共鳴するようなデザインは、異国の街角を歩いていることを実感させてくれます。通り過ぎるたび、文化がアートとして形を持っていることに気づかされる瞬間です。
道沿いのカフェには、幾何学模様と鮮やかな色彩が特徴的なテーブルが並びます。イスラム建築特有のデザインは、どこか神聖で、それでいてどこか可愛らしい。不思議な魅力に包まれた空間で食事をすれば、きっと心まで旅色に染まっていくでしょう。
アラブ&ブギスストリートの魅力は、街歩きだけではありません。ここではイスラム文化の象徴ともいえるモスクが点在し、それぞれが異なる表情で訪れる人を迎えてくれます。さらに通りを歩けば、カラフルなウォールアートが目を楽しませ、信仰と芸術が自然と交わる世界が広がっています。
モスクといえば「丸いドーム型」を思い浮かべる人が多いかもしれませんが、このモスクはすらりとしたシルエットが印象的。白を基調とした外観に朱色が差し色のように映え、可愛らしくも洗練された佇まいです。多様なデザインのモスクを見比べることができるのも、このエリアならではの面白さです。
一方で、こちらは「これぞモスク」と言いたくなるような王道のスタイル。青を基調とした外壁に、金色の丸い屋根が朝日を受けてきらめきます。人影はまばらでしたが、静かに祈りを捧げる人々の姿が心に残り、信仰の重みと穏やかさを同時に感じさせてくれました。
そして、ここでも出会えるのが壁を彩るアートの数々。どれも色彩豊かで力強く、見ているだけで街のエネルギーが伝わってきます。宗教的な雰囲気の中に、こうした自由な表現が息づいているのも、多民族国家・シンガポールらしい光景です。
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