Zhuhai Shenzhen
Photographs
一人旅 深圳のビル

珠海と深セン、境界にあるふたつの風景

海風が香る珠海と未来を駆ける深圳。短い旅路でも残った、確かなまなざし。
こんなにも違う表情をもつふたつの都市を、カメラに収めたのは、ほんの短い旅の時間でした。

珠海では、マカオとの境界に立ち、行き交う人の気配を静かに見つめ、
深圳では、高層ビルと人の流れに圧倒されていました。

観光名所をめぐる旅ではなかったけれど、それでも、記憶に残る風景があったのです。
今回はそんな“通りすがり”の視点から、珠海と深圳の空気を少しだけ切り取ってみました。

🌃 光に包まれる夜の街

- 光に包まれた、香港の夜 -

中国 珠海市
珠海市 繁華街

マカオを背に歩いて数分。
そこに広がっていたのは、驚くほど整った街並みと、活気ある繁華街。
経済特区として発展を続ける珠海の姿は、想像よりも未来の都市を思わせる空気が漂っていた。

珠海市は、近年「中国人が住みたい都市ランキング」でも上位に挙げられる街。
その理由はきっと、この“暮らしやすさ”が自然と伝わってくる空気感にあるのだろう。
ほんの短い滞在だったけれど、「この都市のこと、もっと知りたい」と思わせてくれる、そんな風景に出会えた瞬間だった。

中国 珠海口岸広場
珠海口岸広場

国境を越えてすぐ、足元に広がっていたのは、巨大な地下ショッピングモール。
人、人、人——まるで都市の血流のように、人の流れが絶え間なく続いている。
ここは中国本土・珠海とマカオを結ぶ玄関口。
越境する人々の生活が交差するこの場所には、日系ブランドの店舗も多く並び、どこか親しみやすさすら感じた。

雑多で、にぎやかで、それでも秩序のあるこの空間。
“暮らす”という視点で見れば、きっととても便利で、魅力的な場所なのだろう。
ほんの一瞬の通過だったけれど、この「密度」にこそ、中国の都市のリアルが詰まっていた。

中国 珠海市 夜の蓮花路
夜の蓮花路

そして、夜の姿がこちら。ここは珠海市でも一番の繁華街である「蓮花路」という通り。
赤や青のネオンサインが街角を染めて、歩くだけでちょっとテンションが上がる——
これこれ、こういう“中国らしい夜”、大好きなんです。
気づけば、マッサージ店や飲食店がずらり。
深夜でもまぶしいほどの明かりに照らされて、街はまだまだ眠る気配がありません。

経済特区という肩書きは、伊達じゃない。
ただの港町ではない、“働き、遊び、暮らす”全てが混在した珠海のエネルギーが、夜にこそ色濃く現れていました。

中国 珠海市 夜の蓮花路 路地裏
夜の蓮花路 路地裏

煌びやかなネオンをくぐって、ふと横道に目をやると——
ほら、こういう路地裏があるのが、またたまらない。漂うアングラ感。少し雑多で、ゴミもあって、整いすぎていない。でも、だからこそ、リアルで、生きてる都市の匂いがする。
マッサージ店の明かりがまぶしかった通りから、数歩入っただけでこれ。このギャップが珠海のいちばん好きなところかもしれない。

経済特区と聞くと、ピカピカの都市を想像しがちだけど、
こういう“抜け感”が共存してるって、個人的にはすごく魅力的だと思うんです。

中国 珠海 拱北口岸
拱北口岸
中国 珠海口岸広場
珠海口岸広場
中国 珠海 拱北口岸
拱北口岸
中国 珠海 拱北口岸
拱北口岸
中国 珠海市 蓮花路
蓮花路
中国 珠海市 夜の蓮花路
夜の蓮花路
中国 珠海口岸広場
珠海口岸広場
中国 珠海市 蓮花路
蓮花路
中国 珠海市 蓮花路
蓮花路
中国 珠海市 蓮花路
蓮花路
中国 珠海口岸広場
珠海口岸広場
中国 珠海市 夜の蓮花路
夜の蓮花路
中国 珠海市 夜の蓮花路
夜の蓮花路
中国 珠海市 夜の蓮花路
夜の蓮花路

🏙️ 深圳で見た、未来のスピード感

– 経済特区の本気を感じた、ひと駅ごとの都市スケール –

中国 深圳 平安国際金融中心
平安国際金融中心

深圳と言えば、やっぱりこのビル。

平安国際金融中心——名前は知っていたけど、実際に目の前に立つと、その高さにただただ圧倒された。

まっすぐに空を突き抜けるようなフォルム。
ハイテク都市・経済特区としての深圳の勢いを、そのまま形にしたような建物だった。

今回は中には入れなかったけれど、いつか夜に上って、深圳の街を一望してみたい。
この都市がどれだけ広くて、どれだけ未来に近いのか、上から見てみたくなった。

※平安国際金融中心は、深圳の超高層ビルの象徴とも言える存在で、地上115階・高さ約600m

世界でも有数の高さを誇り、展望フロアからは深圳の夜景を一望できる人気スポット

中国 深圳 羅湖口岸
羅湖口岸

香港と深圳の入境審査所。羅湖口岸に着いたとたん、空気がふっと変わった気がした。
言葉にするのは難しいけれど、建物の質感、人の動き、流れる時間——
あ、ここからは“本土の中国”なんだって、肌で感じた。
すぐそばには大きなショッピングモール。さすがは深圳と思わせるスケール感はあるけれど、想像よりも人は少なくて、なんだか少しだけ肩の力が抜ける。

都市の境界って、にぎやかさよりも“切り替わりの瞬間”が面白い。
羅湖はまさに、その“感覚の変化”を味わう場所だった。

中国 深圳 東門歩行街
東門歩行街

…なんて思っていたのもつかのま、深圳の代表的な繁華街・東門歩行街に着いた瞬間、景色は一変。

人、人、人——
平日とは思えないほどの人の波に、思わず笑ってしまった。入境審査所で感じた“人の少なさ”なんて、まったくの杞憂だったらしい。

賑やかな通りに、無数の看板と活気ある屋台の声。
ああ、これこれ。
経済特区・深圳って、やっぱりこういう街だよなって、なんだかうれしくなった。

中国 深圳 平安国際金融中心
平安国際金融中心
中国 深圳 福田区
福田区
中国 深圳 福田区
福田区
中国 深圳 京基100
京基100
一人旅 深圳のビル
福田区
中国 深圳 福田区
福田区
中国 深圳 福田区
福田区
中国 深圳 福田区
福田区
中国 深圳市民中心
深圳市民中心
中国 深圳博物館
深圳博物館
中国 深圳 福田区 地下通路
福田区 地下通路
中国 深圳駅
深圳駅
中国 深圳 羅湖商業城
羅湖商業城
中国 深圳 羅湖商業城
羅湖商業城
中国 深圳 東門歩行街
東門歩行街
中国 深圳 東門歩行街
東門歩行街
中国 深圳 東門歩行街
東門歩行街
中国 深圳 東門歩行街
東門歩行街
中国 深圳 東門歩行街
東門歩行街
中国 深圳 東門歩行街
東門歩行街

🎨 大扮油画村で出会った、もうひとつの深圳

– 色とにおいに満ちた、アーティストたちの横顔 –

ここは、大扮油画村。
世界中の複製絵画のうち、約6割もがこの小さな村で生まれているという、知る人ぞ知る“アートの生産地”。

看板や壁のペイントから、もうすでに絵の具の匂いがしてくる。
私自身も絵を描く者として、この場所は一度訪れてみたかった。
観光地というより、“手仕事と生活が溶け合った村”——そんな印象だった。

そしてこの風景。
ずらりと並べられた椅子と、キャンバスの数々。
人の姿は少なかったけれど、それでもこの場所に、絵を描く人たちの“気配”ははっきりと残っていた。

きっと放課後や休日には、ここに絵筆を握る学生や社会人が集まって、この空間は絵の具の匂いと集中の熱気で満ちるのだろう。

ほんの数分しかいなかったけれど、「ここに数ヶ月滞在して、絵を学んでみたい」——そんなふうに思わせてくれる場所だった。
まるで、絵描きにとっての“聖地”のような村。

並ぶ絵を眺めていると、ふと気づく。
どれも“複製画”と呼ぶには、あまりにも丁寧で、あまりにも巧い。

構図は同じでも、色のタッチや質感には、その人なりの“遊び心”や“工夫”がしっかりと込められていて、それが逆に、この村に根づくアートの底力を感じさせてくれた。

どの作品も、本当にレベルが高い。
思わず、ため息が出るくらい。
でも同時に、不思議と落ち込むんじゃなくて、「自分も描きたい」って思わせてくれる力があった。

ありがとう、大扮油画村。
よし、わたしも、がんばるぞ。

さいごに

ほんのわずかな滞在だった。
でも、珠海と深圳、それぞれの街に流れる空気はまったく違っていて、
一歩踏み込むごとに「知らない世界がこんなに近くにあったんだ」と気づかされる旅だった。

国境を越えて感じた境界の静けさ。
高層ビルに圧倒される都市のスピード。
そして、キャンバスに囲まれてふと心がほどける創作の時間。

滞在時間の長さじゃない。
記憶に残るのは、あのとき、目の前に広がっていた風景と、
そこでふと感じた、ちいさな「好き」の積み重ねだった。

またいつか、もっとじっくり歩いてみたい。
あの街の続きを、まだ見ぬ風景を、今度はもう少し深く味わえるように。