マラッカは、いくつもの国の支配と文化が交差してきた港町です。赤レンガの広場、丘の上の教会、古い砦、そして中国寺院。街を歩くだけで、異国の歴史が重なり合う姿に出会えます。
マラッカを象徴する風景といえば、真っ赤な建物が並ぶオランダ広場です。スタダイスや時計台、噴水が集まる広場は、観光客でにぎわいながらも、どこか歴史の重みをまとっています。陽射しに映える赤い壁を眺めていると、この街が歩んできたオランダ統治時代の記憶を、今も色濃く感じることができます。
「マラッカといえばこれ」と言えるほど有名な赤い教会です。写真では何度も目にしてきましたが、実際に訪れると、広場全体の景色に自然に溶け込んでいることがよくわかりました。
夜にライトアップされた姿は、昼間とはまた違った美しさを見せてくれます。オランダらしい赤色がより鮮やかになり、夜でも広場には多くの人が集まっていました。
まだ暗さの残る早朝のオランダ広場は、人は少なく、車のライトだけが目立っていました。ライトアップが映える時間帯で、観光客の喧騒がない分、街が静かに目覚める様子を感じられます。
マラッカには、時代や背景の異なるモスクが点在しています。海に浮かぶように建つ近代的な「マラッカ海峡モスク」、インド系ムスリムによって建てられたレンガ造りの「カンポン・クリン・モスク」、そしてマレーシア最古のモスクのひとつ「カンポン・フル・モスク」。
それぞれの姿は違っていても、街に根づく信仰の深さを静かに物語っていました。
海に浮かぶように建てられたモスクです。ペナンにも海上モスクがありましたが、まさかマラッカでも出会えるとは思いませんでした。海上にそびえるモスクは、やはり特別な美しさがあります。
夕暮れ時、ライトアップされたモスクからはコーランが響いてきました。観光客も皆静かにその姿を見守り、この時間がまさにモスクのピークなのだと感じました。
マレーシアで最も古いモスクのひとつとされる歴史ある建物です。白い壁とシンプルな屋根が特徴で、派手さはないものの、素朴な祈りの場としての存在感がありました。長い時間を経てもなお地域に根づいている姿に、信仰の強さを感じます。
クアラルンプールを歩いていると、思いがけず「日本」を感じる瞬間に出会いました。街の看板やお店の名前、ふと目に入るデザインの中に、日本らしい空気が漂っています。異国の地で見つけた懐かしさは、旅にちょっとした安心感を与えてくれました。
現在は壁だけが残されたセントポール教会です。この姿は、マカオの世界遺産「聖ポール天主堂跡」を思い起こさせます。名前に「ポール」を冠している点も同じで、この教会もまた、マラッカがポルトガル支配下にあった時代に建てられたものでした。
内部も壁だけが残り、静かな廃墟となっています。マカオの聖ポール天主堂跡は火災で焼失しましたが、こちらは別の運命をたどりました。マラッカを支配したオランダやイギリスなどはプロテスタント派。このカトリック教会はその後の支配国に顧みられることなく、朽ちていったのです。
教会の内部には、このような石板がいくつも残されています。内容は読み取れませんでしたが、当時の信仰や歴史を刻む大切なものであることは間違いありません。朽ちた壁とともに、静かに過去を語り続けています。
マラッカの街を歩くと、宗教の多様性に驚かされます。キリスト教の教会やイスラムのモスクに加えて、中国寺院やヒンドゥー寺院までもが、同じ街の中に自然に溶け込んでいるのです。それぞれの建物は見た目も雰囲気も異なりますが、共存してきた歴史の深さを静かに物語っていました。
色鮮やかな装飾と線香の香りが漂う、中国系仏教寺院です。青雲亭はマレーシア最古の仏教寺院のひとつとされ、古くから華人コミュニティの信仰を支えてきました。観光客も多く訪れますが、地元の人々の祈りの場としても息づいています。
マレーシア最古のヒンドゥー寺院といわれる場所で、ヒンドゥーの神々がカラフルに飾られています。中国寺院や教会、モスクに囲まれながらも、独自の世界を守り続けていて、まさに「多民族・多宗教都市マラッカ」の象徴のような存在でした。
モスク — 神聖さと美しさに触れる祈りの建築
宗教・文化 — 圧倒と静寂を巡る旅
都市がきらめく、その瞬間を歩いて
多民族街歩き
ペナンの街並みと海、そして夜の風景たち