チョンキンマンション完全ガイド

実際に泊まってわかったリアルな魅力と注意点

チョンキンマンションって、実際どうなの?

「そこってヤバいらしいよ」
「なんか怖そう……大丈夫だった?」

旅の話をすると、そんな声がよく返ってくる。
——重慶大厦(チョンキンマンション)。

香港・尖沙咀にある巨大な雑居ビル。
“世界中から人が集まる場所”とも、“カオスな迷宮”とも言われるけれど、実際のところはどうなのか、ずっと気になっていた。

それなら、自分の目で見てみよう。そんな気持ちで泊まってみた。

結果、怖くはなかった。でも、すごく“面白い”場所だった。
独特な空気に、旅人としての感覚がじわっと動き出す。

もちろん、クセの強さはあるし、誰にでもすすめられる場所ではない。
だからこそ、この記事も“今のチョンキンマンションリアル”として、参考程度に読んでもらえたら嬉しいです。
情報は集めて、最終的には自分の感覚で。

わたしの香港は、ここから始まった。ちょっとクセのある場所から。

🧭 どんな場所?

チョンキンマンションは、香港・尖沙咀の駅を出てすぐの場所にある。
ひと目でわかる巨大なビル。その中に、無数のゲストハウス、飲食店、両替所、雑貨屋、携帯屋……とにかくなんでも詰まっている。

エレベーターは複数、フロアごとに違うゲストハウスがあり、階段はまるで迷路のよう。入口に立つだけで、スパイスのにおいと異国の言葉が耳に飛び込んでくる。

ここでは、アジア・中東・アフリカ・南米……世界中から人が集まっていて、
観光地の真ん中にあるのに、どこか国境のない空気が漂っていて、まるで“世界の交差点”

ここの空気には、どこか“旅人のにおい”が混ざっていた。
誰かが荷物をまとめて出発し、誰かがまたやってくる。
その繰り返しが、建物そのものに染み込んでいる感じがする。

チョンキンマンション。
それは、ただの建物じゃなく、世界中の旅人がすれ違う交差点みたいな場所だった。

🛏 実際に泊まってみた

◆選んだ理由は、安さと、ちょっとした好奇心

宿名:Pay-less Guesthouse
場所:Aブロック 7F
値段:4,500円/1泊

チョンキンマンション内にある無数のゲストハウスの内、この宿を選んだ理由はシンプルで、安さ。チョンキンマンション自体を選んだのはちょっとした好奇心。
旅のあいだ、ホテルには基本寝るだけ。
だから自分にとっては「安ければ安いほどOK」っていうスタンス。

「4,500円って別に安くはないんじゃ?」って思う人もいるかもしれないけど、香港の宿泊事情は独特。そもそも住宅問題が深刻で、宿も基本的に高め。
チムサーチョイでホテルを取ろうとすれば、1泊1万円超えは当たり前

そう考えると、この立地、この価格、“コスパ”だけならトップクラス。

……でも、だからといって「みんなここに泊まって!」とは言えないのが、この宿の面白さ。
“値段相応”っていう言葉、これ以上ないくらいしっくりくる。

◆チェックイン|最初の一歩でつまづくのも旅

ブロックはA。エレベーターもブロックごとに分かれていて、
Aブロックの入口は、チョンキンマンションのメインエントランスから最も近い位置。

エレベーターで7階へ上がり、宿の前に到着。
「ここか……!」と思ったら、ドアに張り紙が。

「受付はブロックD、12階まで来てください」

え?今、Aブロック7階にいるんですけど……?😇

まさかの受付が別ブロック
しかもチョンキンマンションは、ブロック間の横移動ができない構造
つまり、いったん1階に戻って、別ブロックのエレベーターに並び直し。

いきなりチョンキンマンションの洗礼。
でもこういうトラブルも、旅らしいって思えた。

受付では、普通にパスポートを提出して、2泊分(450HKD)を支払い。
思ったよりしっかりした対応で、「受付ちゃんとしてるな……」って思わず失礼な感想が出そうになった。笑

◆部屋の様子|“寝られればOK”派ならアリ

再びAブロックへ戻って、ようやくチェックイン。
部屋の第一印象はただひとこと:狭い。

バックパックならともかく、スーツケースはたぶん開けない。
不潔ではないけど、すごく清潔というわけでもなく、
「海外だと、こんなもんか〜」と思える人なら大丈夫。

設備は最低限。
ベッド、エアコン、電気ケトル。Wi-Fiも普通に使えた。
そして——

お風呂とトイレが、完全に一体化。

これぞ香港スタイルのユニットバス。
シャワーを浴びたら便座も床もビッショビショになるタイプ。
バスタブは、ない。潔くてむしろ清々しい。

◆実際に泊まって感じたこと

音はちょっと気になる。
隣のシャワー音や、ドアの開け閉めもわりと響く。
でも「みんなそのつもりで泊まってる」空気感もあるので、神経質になりすぎなければOK。

気になったのは、それくらい。
部屋に入ってしまえば、意外と快適だったというのが正直な感想。
ゴ〇ブリ?出なかった。部屋の中ではね。(ここ重要)

🌀 チョンキンマンションを歩いてみた

部屋を出てすぐのところに、小さな窓があった。
ふと見下ろすと、そこには言葉を失うような光景が広がっていた。

衣類が屋根の上に散乱している。
干していたものが落ちたのか、もうわからない。
それだけじゃない。なんか……ゴミも多い。というか多すぎる。

「ここは広大なゴミ捨て場……なのか?」
いや、これもチョンキンマンション。そういうものとして、受け入れるしかない。

1階に降りると、そこはまた別世界。
両替所がずらりと並び、スパイスの香りが漂うカレー屋さんが何軒も。
ちょっと入りづらい空気かと思いきや、意外と穏やかで、特に怖さは感じなかった。

地元の人がおすすめする名物のカレー屋もあるらしいけれど、今回は断念。
いつか、カレーを食べにだけ戻ってくるのもありかもしれない。

2階や地下にもお店が入っているらしい。
ただ今回は特に用事がなかったのでスルー。
とはいえ、実際に歩いてみると「チョンキン=危険」みたいなイメージはだいぶ違っていた。

入ってしまいさえすれば、あとは思ったより普通。
むしろ、ちょっとしたショッピングもできるし、日常の一部として馴染んでいる様子さえある。

階段も使ってみた。
エレベーターが混んでいたのと、なんとなく探検してみたくて。
……うん、これはカオス。※ちょっと汚いので閲覧注意

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴミは落ちてて当たり前。
ここだけは言わせてもらう。「きたねえええええええ!!!」ってなるやつ。

あと、ゴ〇ブリは見なかったけど、特大サイズのネズミはいた。
いや、まじであんなの都市伝説かと思ってた。
ふいに出くわして、ちょっと立ちすくんだ。

◆総括:チョンキンマンションの“内側”にあったもの

事前に聞いていたような「怖さ」はなかった。
迷路ってほどではないけど、情報量が多すぎて混乱しそうになる感覚はちょっとある。

でも、普通にショッピングを楽しむ人がいて、
観光でも、日常でも、チョンキンマンションはちゃんと街に溶け込んでいた。

泊まらなくても、「歩くだけでおもしろい建物」
そういう捉え方も、きっと正解だと思う。

⚠️ 泊まるときの注意点

クセ強めな建物だからこそ、事前の知識は旅を救う。

◆ブロックとエレベーターのルールは複雑

チョンキンマンションは A〜Eの5ブロックに分かれていて、各ブロックごとに専用エレベーターがあります。
1ブロックにつき2基あり、奇数階用・偶数階用に分かれているので、間違えたら階段で調整する羽目に。

ブロックの場所も重要で、A〜Cは入口近く、DとEは建物の奥側。
間違えて別のブロックに突っ込むと、ブロック間の移動はできず、ぐるっと回り直しになるので、現地でブロックと階数はしっかり確認を。

◆「泊まる場所」と「手続きする場所」が違うことも!

今回わたしが泊まった「Pay-less Guesthouse」は、Aブロックの7階に部屋があるのに、受付はDブロックの12階。そう、まさかの別ブロック。

チェックインの場所は、部屋のドアに貼られた紙で知ったけれど、英語に慣れていない人は見逃す可能性大。
旅慣れていても、ここで詰む人がいてもおかしくないと思う。

チョンキンマンション内には、オーナーが異なる無数のゲストハウスがあるけれど、身分確認のためのパスポート提示は基本あるはずなので、どのゲストハウスでも受付自体は存在するはず。
受付の場所が見つからない場合は、電話連絡に頼ることになりそう。
(でも正直、国際電話って使い慣れてない……という人も多いよね)

◆部屋は本当に狭い。トイレとシャワーは一体型

スーツケースを広げたらたぶんドアが開かない。
そういうレベルの狭さ。
ユニットバスも、日本のビジホとは比べ物にならない“直浴び型”。
シャワーを出すと、トイレもびちゃびちゃになる。

でもこれはチョンキンに限らず、香港ではよくあるスタイルらしい。
「住宅事情に触れる体験」として割り切れるかどうかが分かれ道。

◆ キャッチには声をかけられるけど、対処法あり

入口付近にはゲストハウスの勧誘の人(キャッチ)がいます。
でも「I already booked the hotel.」でOK。もちろんホテルを予約していなかったとしても。
しつこさはあまり感じなかった。

◆両替所のレート差がえぐい

両替所はたくさんあるけど、レートはまちまち。
傾向としては、入口付近よりも奥の方がレートが良い。
実際、うまく選べば香港でトップレベルにお得な両替ができるのは事実。
「比べてから決める」ことが大事!

◆エレベーター、混むときはほんとに混む

わたしはそこまでではなかったけど、
ネット上には「30分待った」なんて声も。
個人の感覚的には大型ショッピングモールの土日のエレベーターに近い。
時間に余裕を持って動こう。

◆清潔感は……“値段相応”

宿泊費は4,500円。しかもチムサーチョイという超一等地。
その価格に清潔感を求めるのは酷というもの。
特に階段まわりは……「きたねええええええ!!!」って叫びたくなるレベル。

でもその反面、この立地でこの値段は破格。
“値段を取るか、快適さを取るか”の選択になる。

◆中で見かけた生物たち

部屋の中は思ったより平和。
虫も、本当に小さなやつが1〜2匹いたくらいで、気になるレベルではなかった。日本でも、窓開けてたら入ってくるような虫。

ただ、階段では特大のネズミに遭遇。
こればっかりは不意打ちすぎて、わりとガチでびっくりした。
ちなみに、外に出てすぐの路地にはゴ〇ブリがふつうにいるので、それも“旅の空気”ということで……。

ネットの噂、実際どう?

チョンキンマンションについて調べると、
・ドラッグの取引
・スリや置き引き
・違法営業の噂 など、いろんな話が出てくる。

たしかに、そうした側面が“ゼロではない”場所なのかもしれない。
でも実際に歩いてみた体感としては、必要以上に怖がることはないと感じた。

特に1階のフロアは人通りも多くて、雰囲気も穏やか。
歩いていて“危険だな”と感じることはなかった。

ただし、それでも「旅人目線では自己責任で」という意識は大事。
いろんな人が行き交う場所だからこそ、気を緩めすぎないくらいがちょうどいい。

◆総括|クセのある場所だからこそ、知ってから選んでほしい

正直、注意点はめちゃくちゃ多い。
でもそれが「チョンキンマンションらしさ」でもある。

安全最優先で旅をしたい人には、あまり向いていないと思う。
だけど、「多少の混沌も旅の一部」と捉えられる人にとっては、ものすごく濃い経験になるはず。

わたしにとっては、
このスリルと雑多さをひっくるめて、“旅の醍醐味”だった。

✨ 結論|泊まってよかった?その答えは……

チョンキンマンションには、
注意すべきことがたくさんある。
部屋の狭さ、独特なバスルーム、建物の構造、階段の衝撃……
言い出せばキリがない。

でも、わたしは——
泊まってよかった、と思っている。

理由はシンプルで、「安かったから」。
そして、それ以上にこの場所にしかない空気を体験できたから。

清潔感については、旅人である以上、ある程度は折り合いをつけていくものだと思ってる。
むしろ、そういう場所に泊まってみてこそ、その土地の現実や、人々の暮らしがほんの少し見えてくる。

今回は、香港の住宅事情が“体感として”わかったのが大きかった。
あと、「こういうの、たぶん他の東南アジアでもありそうだな〜」なんて思ったりして。

危険じゃなければ、そして“絶対ムリ”ってレベルの汚さじゃなければ、個人的には全然アリ。
立地も良くて、この価格なら……また香港に来たら、きっと泊まると思う。

……ただし、これはわたしの感想。
旅の感じ方は人それぞれだから、
気になる人はしっかり情報を集めて、自分の判断で選んでください。

そのうえで、「ちょっとクセ強めの旅も悪くないな」と思えるなら、
チョンキンマンションは、案外いいスタート地点になるかもしれません。