てくてく香港3日目

M+とストリートアートと、旅の終わりに見た光

はじめに

3日間の香港旅、ついに最終日。
前日の深夜までマーケットを歩き、眠りに落ちたのは日付をとっくに越えてから。だからこの朝は、少しだけゆっくりと始まりました。

けれど、ただの最終日にはしたくなかったんです。
香港で出会ったアート、風景、味、それらをもう一度ぎゅっと心に刻みたくて。

この日は、視覚で、味覚で、感情で、香港という都市をまるごと感じる日
アジア最大級の現代美術館「M+」から始まり、ストリートアートの数々、そして西環の港町の夕暮れへ――。
旅の終わりにふさわしい、感性と余韻に包まれた一日が待っていました。

最後まで、てくてくと。
私だけの香港、歩いて確かめた記録を綴ります。

🖼️ 10:00|M+から始まる、感性の目覚め

- 現代アートに包まれて、香港の“今”を感じる朝

この日の朝は、少しゆっくり。前夜のナイトマーケット歩きで夜更かししていたから、自然と朝寝坊になっちゃった。

そんなゆるやかな始まりに選んだのは、M+(エムプラス)というアジア最大級の現代美術館。ずっと楽しみにしていた場所のひとつだった。

いざ入館してみると、そこには“絵”だけじゃない、美術の新しいかたちが広がってた。
建築、デザイン、映像、写真、視覚表現のすべてが、自由に、そして大胆に展示されている。アートってこんなに広かったんだ、ってちょっと驚いた。

特に印象的だったのは、風刺画をコミカルにアレンジした展示や、時代を切り取るような作品たち。有名ブランド「POLA」のアートもあって、おしゃれさと重厚さが絶妙に混ざってた。

そして、広い館内を歩くだけでも気持ちいい。
美術ファンはもちろん、普段あまり美術館に行かない人にもおすすめしたい場所だった。

ちなみにこれはM+の屋上から見た香港島の風景
アベニュー・オブ・スターズから眺める夜景も素敵だけど、昼間の光に包まれた景色もまた格別。

ここに住んでみたいな…

ってふと感じた瞬間だった。

香港の住宅は家賃がすっごく高いんだよ。

🛍️ 13:30|深水埗でざわめきの中の“探しもの”

– 欲しかったのは、お土産?それとも、この空気感?

M+を満喫したあとは、ローカル感あふれる街・深水埗(シャムスイポー)へ。

お目当ては、旅のおみやげ。
…だったんだけど、正直「これだ!」というものには出会えず。

実は香港やマカオって、“ザ・定番土産”が少ないみたいで、帰国前に悩む人も多いとか。私も例に漏れず、結局ナイトマーケットで買った小物だけに落ち着いた。

でも、だからといってここが無駄だったなんて、思わない。

昼間でも活気が溢れるこの街。
屋台の音、すれ違う人の声、雑多で力強いエネルギー。
それはきっと、買い物では手に入らない“旅の記憶”として、しっかりと残る。

香港って、本当にすごい街だなって思った。
どれだけ歩いても、見飽きることがない。むしろ、もっと深く知りたくなる。

🎨 14:30|上環・中環で、壁と対話する

– 香港のストリートに息づく、自由な色とカタチ

香港のアートな一日、後半戦はストリートアートから。
上環・中環エリアは、まるで“街そのものがキャンバス”といわんばかりに、壁という壁にアートが施されていた。
しかもそのクオリティが想像以上。プロ級の画力とセンスで描かれた作品たちが、街のあちこちに息づいている。

私は普段イラストを描くので、つい画風や構図に目がいってしまうんだけど……

いや、これ本当にすごい。上手すぎる。。。

壁に描いてこれはすごいね!

描いた人にお布施したいレベル。

正直、こんなに本格的なストリートアートが香港のあちこちにあるとは思っていなかった。

“アートとのかくれんぼ”みたいな気分。
街のどこに隠れているか分からないアートを探しながら歩くのは、宝探しみたいでワクワクする。
時間が足りない、もっと見てまわりたかった……!

そんな上環・中環のストリートアートをまとめた記事もあります👇
ストリートアートの詳細な場所や、他にもどんなストリートアートがあるのか気になる方は、是非ご覧くださいね!

香港 ストリートアート

香港アートスポット巡り

実際に訪れた場所と次に行きたい注目スポット

香港 ストリートアート Uma Nota

Photograph 写真で巡る香港 -part2-

香港のカルチャー。
ウォールアート、ローカルグルメ、観光名所で出会った景色たちをお届けします。

🌶️ 16:00|西環の壁と四川の香り

– アートの余韻に、ピリッと効いたラーメンを添えて

またまたストリートアート!…でも、これには理由がある。

香港島の西側――中環から西環にかけてのエリアは、まさにアートの宝庫
街の空気そのものが、どこかアーティスティックなんです。

でもこの時間、私のもうひとつの目的は「四川料理」。
やってきたのは川之源というお店。
実は最近、辛いものにハマっていて…本場の四川ラーメン、食べてみたかったんです。

スープをひとくち。

「うんま!!!!!」

いや、これが本場の味か…。舌にピリッと、でもクセになる辛さ。
辛いのに箸が止まらない。スープまで全部飲み干しそうになったのは内緒。
このお店、今回の旅の飲食店では一番の“当たり”でした。

ちょっとアクセスは不便かもしれないけど、ストリートアート散策とセットで訪れるのにピッタリ。
美味しすぎて、ほんとにまた来たいって思った場所です。

辛い!でもうまい!でも辛い!でもうまい!!

あんた今ラーメンとケンカしながら愛し合ってるな。

🌇 17:30|海に沈む夕日を探して

– 西環鐘声泳棚で出会った、静かな余白

MTR堅尼地域(ケネディータウン)からてくてく歩いて約1km。
目指すは西環鐘声泳棚(Sai Wan Swimming Shed)
地元民には知られた夕日の名所で、「いつか行ってみたい」と思っていた場所です。

日が落ちる前に滑り込むように到着。
だけど――

急に霧が出てきた。
どんどん白くなる空、霞んでいく海。
せっかくの夕景は、ほとんど見えなかった。

でも不思議と後悔はなかった。
“見えなかった夕焼け”すら、思い出になるのが旅なんだと思う。
また来る理由ができた。
次はきっと、あの海に落ちていく夕陽が見えるはず。

夕日は来なかった。でも私は、ここに来た。

かっこつけてるけどただの空振りやぞ。

エッグタルトで立て直そう!

こらw

🥚 19:00|旅の終わりにもう一度

– 泰昌餅家のエッグタルト、さよならの前のしあわせ

あまりにも美味しくて、Day2でも立ち寄った泰昌餅家。
旅が終わる前に、どうしてももう一度食べておきたかった。

HKDも余っていたし、「これは運命だ!」と自分に言い聞かせてエッグタルトを5つ購入。

……気づいたら、タルト5個買ってた。

もしかして……タルトの方が君のこと好きなんじゃない?

通算10個以上は食べてます、たぶん。笑
何個食べても飽きない、サクサクとろりの魔法。

…でも、このときのエッグタルトはちょっとだけ味が違った

甘いのに、ほんのり切ない。
「もうすぐ旅が終わっちゃうんだな」って気持ちが、味にじんわり染みこんでいたから。

ひと口ごとにこみ上げる感情、涙。
大好きなエッグタルトをたくさん食べることができて嬉しいはずなのに――
すごく美味しくて幸せなはずなのに――

その時だけは、エッグタルトの味を噛みしめる度に涙が溢れそうになった。
目が潤んで視界がぼやけて、笑ってるのか泣いてるのかわからなくなる。

目の前にあるのはお菓子なのに、まるで旅そのものを味わっているようだった。

🎆 20:00|反対側からのフィナーレ

– 香港島から眺めた、もうひとつのシンフォニーオブライツ

Day1ではアベニュー・オブ・スターズから見たシンフォニーオブライツ。
この日はその反対側・香港島側から、九龍半島の夜景を眺めてみた。

厳密にいえば、こっち側からの景色は“シンフォニーオブライツ”じゃないかもしれない。でもそんなのどうでもいいって思えるくらい、美しかった。

ちょうどM+横の大モニターの近くで、大きな花火が打ちあがってた。
たぶんクリスマス仕様。
モニターの光と、夜空に広がる花火、そして海沿いの街並み――
まるで映画のクライマックスみたいな時間だった。

Day1で「香港の夜景すごい!」と思ったけど、この夜、あらためて心から思った。

香港って、やっぱすごいや。

✈️ 21:00|ありがとう、香港

– 旅の終わりに、思い出が追いついてくる

空港に向かうエクスプレスの車窓。流れていく香港の夜景を見ながら、少しだけ寂しさがこみ上げてくる。

旅って、始まる前はあんなにワクワクしてたのに、終わりが近づくとどうしてこんなに切ないんだろう。

街を歩いた時間、美術館で見たアート、笑って、感動して、食べすぎて。
写真には残しきれなかった一瞬一瞬が、心の中でふわっと蘇る。

まだ帰りたくないな。

そう思いながらも、ちゃんと帰る準備をしている自分がいた。

出国審査はあっけないほどに早くて、空港のベンチで、旅で撮った写真をスライドショーのように眺める。

ああ、本当に楽しかった。
「また来よう」じゃない。「絶対、また来る」

香港が見せてくれたたくさんの景色と感情に、
ただひとこと、ありがとう

🎒さいごに

5日間、マカオからはじまって、香港をてくてく歩いた旅。
たった数日だったのに、まるで一冊の本を読み終えたような感覚。

煌びやかなネオン、歴史を感じる街並み、
屋台の香り、美術館の静けさ、夜景のきらめき――
どの瞬間も、「ああ、生きてる」って思えた。

ネットに載ってる定番スポットも、ふらっと歩いて出会った裏道の風景も、全部ぜんぶ、わたしだけの物語になった。

この旅が完璧だったわけじゃない。
お店が休みだったり、道に迷ったり、エッグタルトで泣きそうになったりもした。
でも――それさえも含めて、愛おしい旅だった

「旅は終わるけど、物語は終わらない」
そう思える旅だったから、またすぐにでも、歩きたくなる。

ありがとう、マカオ。ありがとう、香港。
そして、ここまで読んでくれたあなたにも。

また、どこかで会いましょう。てくてくと。

……って、5日間合計150km徒歩で“てくてく”って言う!?