描かれた風景、残された建物、そして、見渡す景色。ペナンには、歩くだけで心が踊る場所がたくさんありました。ストリートアートに立ち止まり、歴史ある建物を見上げ、丘の上から街を見渡す――そんな特別な時間を、写真と一緒に辿っていきます。
歩くたびに、絵に出会う。
壁の中の子どもたちは、今もずっとこの通りを走り続けている。本物の自転車が添えられたこのストリートアートは、アートを「風景の一部」に変えてしまった。時が止まったような光景に、大人になった私たちが立ち止まり、思わず笑顔になってしまうのは――きっと、あの頃の自分と再会しているからかもしれない。
思わず一緒に背伸びしたくなる。大人になって忘れていた「届きそうで届かないもの」を、この小さな男の子が思い出させてくれた。
人気スポットを、カメラ片手にぶらりと
ペナン島の海沿いに突き出すように伸びた、木造の桟橋と、その上に建てられた家々。ここ Chew Jetty は、華人(福建系)の人々が代々暮らしてきた、水上集落です。
入口には大きな中国寺院がそびえ立ち、その奥には、木の床がきしむ長い通路。その両側には、まるで海の上に浮かぶように並ぶ家やお店、そして暮らしの風景。「こんな場所で、どんなふうに毎日を過ごしているんだろう」ふと、そんな想像が浮かびました。
観光地としても有名になりつつあるこの場所は、生活と観光が隣り合う、ペナンの独特な空気を感じられる場所でした。
異国情緒あふれるファサードに、思わず足を止めた。色鮮やかな緑のタイル、繊細な装飾、そして中からふわりと漂う“歴史の気配”。
ここは「プラナカン」と呼ばれる海峡華人たちの文化を伝える邸宅。中国系移民とマレー文化が交じり合い、独自の生活様式や美意識が花開いたその名残が、今もそっと佇んでいます。
中には入らなかったけれど、外から見ただけでも、この建物が語りかけてくる気がしました。「ここに生きた人々の美意識が、まだ消えずに残っている」と。
白亜の外壁が陽にきらめき、青空によく映えていた。ここは、イギリス植民地時代に建てられたペナンの市庁舎。優雅なコロニアル様式の建物は、今も現役の行政機関として街を見守り続けています。
中に入ることはできなくても、建物が持つ風格と、時代を超えて残る美しさに心を奪われました。「歴史の重み」と「今の暮らし」が、静かに重なっているような、そんな不思議な佇まいでした。
どこまでも広がる景色と、旅人たちのざわめき。それがペナンヒルの風景。
電車の窓から見えるのは、ぐんぐんと上っていく線路。これからどんな景色が待っているんだろう――そんなワクワクを乗せて、ペナンヒルへ。
車内には、英語、中国語、マレー語……いろんな言葉が飛び交っていて、きっとみんな、同じ気持ちでこの坂をのぼっているんだろうな、と思いました。
ペナンヒルの頂上から見下ろすと、眼下にはカラフルな街並みと、どこまでも広がる青い海。遠くまで見渡せるその景色に、思わず息をのんでしまいます。
きっと、初めてペナンを訪れた外国人たちも、この眺めに心をつかまれたんだろうな――そんな気持ちになりました。
ペナンの街並みと海、そして夜の風景たち
祈りの風景と宗教建築